新婚さんの幸せのお裾分け~落ち着いたトープカラーで~

前回、前々回の記事の続きです

一枚の革から色々なアイテムをお造りしてきたお客様の件、いよいよ最終回です。

「スカートにも合わせられるビジネスリュック~落ち着いたトープカラーでひと揃い~」

「一枚の革から、夫婦揃いのバッグを作る~落ち着いたトープカラーで~」

「そっくり我が家で引き取ります」

前回までのご注文で、一枚の革からいくつものバッグを採ってきましたが、実はあともう少し余りが出ました。

※革の面積には個体差があります

それをお伝えしたところ
「せっかくのご縁で、夫婦ふたりで愛用できるバッグになってくれた革(牛さん)なんだから、残っちゃって他の人のもの(製品)になるくらいなら、そっくり我が家で引き取ります!他にも作って下さい!」と仰っていただきました。

革にこだわってものづくりをしているメーカー冥利に尽きます。ありがたいことです。また後日、在京の日にご来社いただき、お打ち合わせをいたしました。

仕事で読む本のブックカバー

こちらの記事の方を参考に、大判のブックカバー。

M様が身を置かれている金融業界の専門書は、A5判サイズのものが大半だそうです。その中でも、ハードカバーのものは叢書や研究書なので、オフィスや自宅に置いておいて、参考程度に紐解くことが多いとのこと。対して、ソフトカバーでは、最新の法令の解説や業界研究など、知識のアップデートのために必要な本が多く出ているそうです。移動中に読むことが多いのはソフトカバーサイズの本だということで、A-90型となりました。

こちらも先だっての小物ひと揃いと同じく、袖(表見返し)だけをスカイブルーの革に変更して、ワンポイントカラーにしています。読んでいるときにちらりと見えるのが粋です。

チャームにもなるキー&カードケース

バッグのかたちをデザインしたキーケース(ICカードが一枚入るポケット付き)は、人気のアイテムのひとつです。バッグのハンドルやショルダーベルトに括り付けると、親ガモ子ガモのような可愛らしいチャームにもなります。こちらはくるみボタンだけをスカイブルーに変更して、文字通りのワンポイントカラーに。

紐は長めに作っておりますので、ぐるぐる巻き付けるか、適度な長さにカットして結び直してください。弛ませてお使いになると、不意に引っ掛かって危険な場合があります。また、長いからといって、ペンダントのように首から提げてはいけません。エレベーターや電車の扉に巻きこまれてしまった場合の安全装置が付いておりませんので、革紐が千切れるまで引っ張られてしまいます。弛ませないように、バッグに巻き付けてお使い下さい。

今回のリュックの外ポケットに差し込むには少し窮屈だったので、背中側(裏胴)のマグネット付きポケットに差し込むかたちで収まりました。

ずっと欲しかったグローブホルダー

「グローブホルダーはずっと欲しかったけれども、ちょうどいいものにめぐり逢えずにいました。冬場のアイテムですが、この際お願いします」と、ご注文をいただきました。

既成品では、ノブレッサーカーフでお造りしているアイテム(A-71NC)ですが、今回はもちろんシュランケンカーフで。これもバッグの外側を飾るという意味で、チャームのように目を惹きますので、バッグと揃えてお造りになると、とても統一感のある仕上がりになります。もちろんこれも、くるみボタンだけをスカイブルーにしています。他のバッグでお使いになっても可愛らしい印象のものになりました。

ご夫妻共通の趣味のゴルフにも、グローブは必須です。ゴルフ場に持って行ってカートバッグに付けるのもいいかもと喜んでいただけました。

長期出張の息抜き。スケッチ散歩のお供に。

国内での長期滞在の出張が多く、いわば旅暮らしなので、いっちょ絵でも描いてみるかと、最近、絵画教室に通い始められたそうで(お忙しいのに、ほんとにパワフルな方なのです)、旅先で、パレットケースとスケッチブックを入れて、ちょっと持って行けるバッグを、というご要望でした。

既成品のサコッシュではちょっと小さかったので、B5判サイズ対応のクラッチバッグに、サコッシュと同じナイロンテープのショルダーベルトを付けて、肩から提げられるようにカスタマイズしました。

これだけは純粋にお仕事用ではないので、オンオフのメリハリを付けるため、旦那様のボディバッグと揃えるかたちで、オレンジのステッチを掛けました。また、引手そして裏地(内袋)もオレンジに。お休みの日にお二人でお出かけになるときに、お揃いの配色のボディバッグとショルダーバッグを持たれる図を想像すると、とてもお似合いです。

内側のファスナーポケットの額と引手は、裏地と同じオレンジでは埋没してしまいますので、トープカラーで際立たせています。

ご結婚の記念品

実はおふたり、8月下旬に、結婚1周年を迎えられたそうです。
ただ、昨春から続くこのご時世です。ご結婚式・披露宴の時季をずっと見計らっておられたのですが、残念ながら断念されました。その代わりに、紙婚式も兼ねて、フォトウェディングだけ行うようにされたそうです。

その時に立ち会われる方々、お祝いをいただいた方々への贈りものを、せっかくなのでこの同じ革から用立てて欲しいとのご要望を、最後にいただきました。ご夫婦お二人の記念となるバッグだけではなく、大切な方々への贈りものまでご用命いただいて、弊社としては大変光栄なことでございます。

ハマグリは、和歌にも詠われるように、夫婦和合の象徴です。以前にも結婚披露宴の引き出物にお使いいただいたことのある、縁起の良いアイテムです。

結婚式の引き出物にお使いいただきました。

既成品(A-21H)は、ベージュのファスナーテープで、尻尾も同色なのですが、今回は尻尾を、お贈りするお客様方のイメージに合うお色でそれぞれ、あつらえさせていただきました。

その数、なんと11コ!

ここまで色々採ってきた革の残り具合次第でしたが、「最低限6人分、できれば11人分作れると嬉しい」というご希望でしたが、なんとかご期待に沿うことができました。

職人曰く「今回は革がわりとよかったから、ぎりぎりまで追い込んで数通り採れた。いつもこういう革ばかりならいいんだけどね」とのこと。お二人の願いが通じたのだと思います。

※革の面積には個体差があります。常に一枚の革からこれだけのアイテムが採れるとは限りません。

一枚の革から~幸せのお裾分け~

piccinoでは、革にこだわるメーカーとして「一枚の革を使い尽くして、いくつかのアイテムを作り揃える」というご提案をしておりますが、今回のM様Y様ご夫妻のご注文は、弊社としても驚きと楽しさに溢れた、有り難い機会でした。

M様のお仕事に必要なリュックとインバッグ、チャームなどをひと揃い、
Y様が常に身につけられるボディバッグ、それに揃えたM様のカジュアルなショルダーバッグ
さらにはおふたりのご結婚の記念品までご用命をいただきました。

それらすべてが、一枚の革からです。

上述したように、一枚の革からふたつのバッグ、それはひとつの命をお二人で持たれるということです。そこから更に、おふたりの周りの大切な方々へ、そのひとかけらを贈られる。それはあたかも、新婚家庭に招かれて手料理を振る舞われるかのよう、といっては言い過ぎでしょうか。おふたりの幸せのおすそわけまで、携わらせていただくことができて、私どももとても嬉しく思いました。ありがとうございました。

piccinoでは、今後もこの「一枚の革から」というお仕立てのご提案をして参ります。
おひとりで必要なアイテムをお揃えになるだけでなく、今回のようにご夫婦やご家族様、またお友達同士など、大切な方々との記念として、一枚の革から、バッグをお造りになるのはいかがでしょうか。
ご興味を持っていただきましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

(30代女性,金融業界・40代男性,不動産業)