イタリアンレザーのバッグが里帰り

先週末、常連のお客様がお財布を探しに、ショールームにいらっしゃいました。
その際、2月におつくりしたバッグをお持ちいただきました。
NL851。シュランケンカーフ製のビジネスバッグのH851(ニックネーム“マリア”)のかたちを、イタリアンナッパラックスを素材にしたものです。

全面きれいに色が落ち着いてきて、上部の光沢も鮮やかになってきました。ショルダーベルトは取り外して使うことが多いということで、色変化があまり見られませんでした。

下は2月におつくりした際の記念写真です。
こうして比べてみると、だいぶ色が変化しているのがわかります。毎日使っているから、こんなに変わっているのに気づかなかった、とびっくりされていました。

お納めしたときに、ずっと持っていたかのようにしっくりくると、たいそうお気に召していただきましたが、それから毎日、仕事に持って行ってくださっているそうです。数ヶ月使って、よく馴染んできたとのこと。仕事の相棒として仲間として、とてもいい出会いをしたと、仰っていただきました。

イタリアンナッパラックスは、イタリアのトスカーナ地方に古くから伝わる昔ながらの方法で、植物由来のタンニンを使ってなめした革です。皮革もなめし剤も天然の、伝統的なやり方にこだわっているので、その仕上がりは自然の力によるところが大きく、味のある複雑な色むらや風合いが出て来ます。
また、時の移り変わりとともに、少しずつ色も落ち着いていきます。化学的に言えば、紫外線や湿気が影響してくるのですが、詩的に言ってみれば、それはまるで恋のようなものです。最初は、鮮やかな色合いですべてが輝いて見えるもの。時とともに次第にその鮮烈な気持ちが醒めて落ち着いて、慣れていき、良いところをじっくり見てつきあえるようになります。
人も革素材も、ともに同じ時を重ね、少しずつ変わっていき、馴染んでいきます。

このバッグも、長くずっと、お客様のお仕事そして人生のお手伝いをすることでしょう。

追伸
たまにこうして里帰りで、顔を見せてくれると、とても嬉しいです。またね。

(20代女性、会社員)