落語家さんの真打披露の引き出物をお納めしました。

残暑厳しく、車の温度計で外気温43℃なんて目にしてげんなりしてしまう日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。
二十四節気では処暑から白露へと移りゆく頃、のはずですが、朝露に風情を感じるよりも、玉の汗で目が覚める蒸し暑い日がもう少し続きそうです。体調にはくれぐれもお気を付け下さい。

さて、暦の上ではすでに秋。秋といえば、まず食欲の秋、そしてスポーツの秋(もっとも今年は夏から大盛り上がりですが)。他にも文化の秋芸術の秋と目白押しです。そしてまた、秋は人事の季節でもあります。

今秋、弊社は、とても大事なご注文をいただいておりました。秋の人事で真打に昇進なさる落語家さんの、披露の宴の引き出物を仰せつかっていたのです。

古今亭志ん雀師匠

ご依頼主様は、古今亭志ん吉 改メ 古今亭志ん雀師匠。
一般社団法人 落語協会所属、六代目古今亭志ん橋師匠の門下でいらっしゃいます。
2006年の入門から、日夜、研鑽を積まれ、令和3年 秋の人事にて、二つ目から真打へと昇進なさいました。

落語協会様のサイトへ

師匠とpiccinoとのおつきあいは、もう5,6年になります。弊社スタッフが、師匠と大学同窓の後輩にあたり、公私ともにお世話になっているのです。弊社にお越しいただいたこともあり、ご家族でpiccinoのバッグをお使いいただいております。
そんなご縁のなかで、真打昇進の際には、披露宴の引出物をあつらえてほしいと、数年前からお約束をいただいておりました。

毎日お使いいただきたいマルチポーチ

今回お納めしたのがこちら、シュランケンカーフのマルチポーチです。
既成品のA-5Hをベースに、仕様をいくつか変更し、お名前の刻印を入れさせていただきました。

ご依頼の際、師匠からは「自分を応援してくださる大切なお客様に、長く愛用していただける良いものを差し上げたい」との熱い思いをいただきました。その思いを受け、製品や仕様をご提案させていただきました。

芸能人の名前入りのオリジナルグッズとしては、革小物は定番のひとつです。ペンケースやカードケースなど、イベントの物販では多様な製品があります。ただ、用途が限られる小物だと、すでにご愛用のものがおありの場合がほとんどでしょう。記念に買ったり、もらったりしても、使われないままタンスの肥やしになってしまっている例は多々あると思います。

そこで、ひとつあっても邪魔にならない、ご自分ではあえて買うことがあまりない、多用途に使えるポーチをご提案いたしました。それこそ落語会で、仲入りで席を立たれる際、財布とハンカチと電話だけ入れて持たれるのにも丁度良いサイズです。
また、どこでお使いになっても悪目立ちしないように、お名前の刻印は、表ではなく内側。ファスナーを開けてすぐ目に入るところに忍ばせております。

素材はドイツ産のシュランケンカーフ。欧州のハイブランドでも用いられている、世界でも指折りの高級皮革です。これは不思議な素材で、使えば使うほど良くなっていく革です。
新品のきれいな発色が、お使いいただくうちに、人の手の汗と脂で磨かれて艶が増し、より明るく、色気のある貌を見せるのです。下ろしたての心地よいシボ感も、やがて滑らかになり、手に馴染んでいきます。丈夫で水気にも強いので、十年経ってもくたびれた感がしない、むしろ良くなってきていると仰るお客様も多くいらっしゃいます。

piccinoではよく使っている素材ではありますが、この素材こそ、師匠の芸の道を表すのにぴったりではないかと、お世話になっている弊社スタッフからご提案させていただきました。

磨かれて艶を増し、長くお客様に愛される

志ん雀師匠は、先日の真打昇進披露の会見でも、師匠の志ん橋師匠に「真面目過ぎる」と言われるほど、真摯に研鑽を積んでこられました。キリッとした面構えの方ですが、古典落語の武家物や艶笑話を得意とされ、武家の女房や吉原の遊女の表現では、品のある色香にうっとり酔わせてくださいます。

また、母校である六大学の名を冠した落語会では、ちゃんと母校にちなんだ新作落語を作られたり、古典落語の改作をされるなど、観客の期待に真正面から応えてくださる方で、多くのお客様に愛されてらっしゃいます。

端正で上品な色気を宿し、磨かれて艶を増し、長くお客様に愛される。そんな師匠のお心を表す贈り物には、この素材しかないとご提案したところ、ご快諾いただき、お造りさせていただきました。

左が古今亭志ん雀師匠。右は弊社社長。

披露宴は延期。真打昇進披露興行は9月下席から

先日、お納めの準備を進めていたところ、師匠からご連絡をいただきました。
昨今の情勢を鑑みて、予定されていた真打昇進の披露宴を無期延期にされるご決断をなさったとのこと。世の中が落ち着いたら、改めて盛大に執り行われるとのことです。
お客様のお手元に届くのは少し先になりますが、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

※本来なら、披露宴後、お品物がお客様のお手元に届いてからの公開とするはずだった本記事ですが、本日より公開して良いとのご連絡をいただき、掲載の運びとなりました。師匠のお心遣いに感謝いたします。

また、都内の寄席での真打昇進披露興行は、予定通り9月下席から。

「令和3年 秋 真打昇進披露興行」(落語協会様)

単独の落語会は、11月17日に行われるとのことです。

「志ん吉改メ 古今亭志ん雀真打昇進披露公演」(イープラス様)

詳細はそれぞれのリンク先にてご確認ください。

外出も憚られるご時世ではございますが、笑いは免疫を高め、病に打ち勝つ気力を与えてくれます。寄席・劇場では感染対策を徹底して行われていますので、皆さま、ぜひ足をお運びください。

末筆になりますが、古今亭志ん雀師匠の益々のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。