コロナ禍に昨夏以上の酷暑で、苛烈な日々となっておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。色々な意味で危険な時節なので、くれぐれも無理せずご自愛ください。
今は、この状況が過ぎた後のために、無理せず力を蓄える雌伏の時。その準備のひとつとして、新しいバッグを仕立ててみる、というのはいかがでしょうか。今回はそんな作例をご紹介します。
今回のお客様は…
今回のお客様は、金融業界にお勤めの女性です。小柄な身体に秘めたパワフルさで、長くご活躍されています。
出張や長期滞在も頻繁にあり、全国各地を飛び回る日々。出向もあり、どうしても荷物が多くなりがち。お洋服やバッグを手持ちの荷物でやりくりするのに、頭を悩ませているとのこと。
バッグはなるべくオンオフ両用できるものをと探すけれども、必要な容量から考えるとゴツいメンズ用のビジネスバッグ、あるいはそのシリーズでわずかにある女性向けしか選択肢がなくて困っている。というお悩みを抱えて、piccinoを訪ねていらっしゃいました。
今回のお客様のご希望は、大きく分けてこの3点でした。
- 小柄な女性が持ってもしっくりきて、荷物の重量に耐える丈夫なビジネスリュック
- 長期出張が多いので、お客様を訪ねるときのフォーマルなものでありつつ、休日に当地を散策する際にも使えるような、重苦しくないものだといい
- リュックの他、ノートPCが2台入るインナーケース。飛行機の機内に持ち込めるクラッチバッグにもなるもの。他にもインバッグもあれば。
一見、相反しそうな要件ですが、職人が苦心し、ご期待に添えるものが実現しました。
小柄な女性のためのビジネスリュック
オフにも使える上品なトープカラー
素材は、シュランケンカーフのトープカラー。オーク色とも言われる落ち着いた暖色で、スーツにもカジュアルな装いにも合わせやすい上品な色気です。
市場にあるビジネスバッグは、黒、ネイビー、ダークブラウン、モスグリーンなど、いわゆるメンズ色のものが大半です。ビジネススーツの色味と調和し、黒子に徹する色味だからでしょう。
ですが、女性の場合は、ビジネスシーンであっても、使えるお色に広がりが持てます。職業、役職、年齢、季節、テーマカラー、シチュエーションなど、さまざまな要素を考慮したファッションの一部として考えると、メンズ色だけではいささか物足りない傾向であるといえるでしょう。
今回のお客様のように「ビジネスと休日とどちらでも使えるように、くだけすぎず硬すぎないバランスのいい雰囲気で」というご希望の場合は、このトープカラーはオススメです。
また、実はこちらのお客様は、シュランケンカーフのミドル長財布(P111H)のトープカラーを、昨年からお使いになってくださっていて、それがお気に召したので同じ色で、というご要望でもございました。
お仕立て品の強み
外観は、昨シーズンにラインナップした通常品と変わりませんが、お仕立て(セミオーダー品)なので、裏や底など、細部の仕様を変更しています。
ショルダーベルトを余らせない
今お使いのリュックでどうしても気になると仰っていたのが、ショルダーベルトの長さです。お客様は小柄な方なので、ちょうどいい長さにすると、尻尾のようにだらんと垂れてしまうとのこと。
一般的な量産品は、より多くの方に対応する為、ベルトは長めに作り付けられています。金具で背負いやすい長さに調節することはできますが、元々長いものはどう繰っても締めても余ります。それが足に当たって気になったり、置いた時に床に広がって踏まれたりしてしまったことが、皆さんおありかと思います。
今回は、ショルダーベルトの長さを、通常品の長さから二十センチ以上、短くしました。背負うときにクッションとなる幅広の部分も含めて型紙を切り直し、金具の穴の位置や間隔も調整し、夏冬の衣替えにも対応できる仕立てになっています。
芯拵えと底板で、重い荷物をしっかり受け止める
モバイルノート2台持ち。さらにはスマホとタブレットなどが必携。頻繁に出張や長期滞在があり、また出向になって所属が変わることもあり、各所からの支給品をいくつも持ち歩かなくてはならないとのこと(さらにそれぞれの付属の充電器なども。もちろん私物のスマホも)
それら、合計4kg超の荷物をしっかり納めて、重量を受け止め、形崩れなどを起きにくくするため、芯拵えを工夫しました。また、底板を入れて、重量を底面全体に分散するようにしています。しっかりしたバランスのいいつくりとなり、荷物を入れない状態で、ひとりで自立しています。
リュックは床に置くもの
底鋲のリクエストもいただきました。
市場を見渡してみても、底鋲が付いたリュックというのはあまり見かけません。リュックは背負うもの、という印象が強いからでしょうか。
実はリュックは「床に置くもの」です。
オフィスのデスクの足元や、電車の床、飲食店でテーブルの下に置いたり。背負うのは移動するときだけで、大半の時間は、床に置かれていることが多いものです。
特にビジネスシーンでは、お客様先の環境は選べません。屋外や、粉塵が散乱しているところなどでも、気にせず置いて、お話を進めなくてはなりません。
そんな時、底鋲が付いていると、汚れや傷みを軽減することができます。
一枚の革から揃えて作る。それもバイカラーで
併せて、中身を整理するインバッグもいくつかご注文をいただきました。
リュックは天から底までが深いので、細々とした雑貨類をそのまま入れると、底に溜まってしまって取り出しづらくなります。平ポケットやファスナーポケットをご活用いただくだけでなく、ポーチなどで小分けにしておくと、出先でも落ち着いて荷物を取り出すことができます。
それぞれのアイテムのイメージと合う色でお造りする、あるいは既成品をお出しするということもできましたが、今回はすべて同じ色で、いっぺんに一枚の革からお造りすることになりました。お客様は、本ブログの読者でもいらしてくださって、「一枚革からいくつものアイテムをあつらえる」という作例(記事参照)に興味をもっていただいていたのです。
もちろん、ビジネスシーンでの利用なので、あまり色とりどりのアイテムが出てくるよりは、統一感があるほうが、重みが感じられるということもあります。またそもそも、以前からお使いいただいているお財布のお色なので、それも含めてのトータルコーディネートにもなるのです。それらを踏まえて、揃いでのご注文をいただきました。
ただ、すべてのアイテムをまったくの1色にしてしまうと、これまたさじ加減の難しいところですが、こだわりの強さが強調され、融通が効かない人だという印象を与えてしまうこともあるかもしれません。そこで、やはり最近の作例の「バイカラー(コンビネーションカラー)」の記事を参考に、遊びを入れてみることになりました。
封筒型クラッチバッグは補強して新仕様に
モバイルノートのためのケースとしてインバッグとして。また、単体でも飛行機の座席に持ち込めるようなしっかりしたクラッチバッグです。こちらは、ナッパラックスで作っているものをベースにして、仕様を変更しています。
2台のモバイルノートを入れるということなので、重量に耐えられるように、底を付けて芯を貼り込み、補強しています。底面がしっかり形になることで、しっかり手のひらで握れるようになっています。
また、内側の生地も袋にして落としているので、完全に「薄いバッグ」です。
後日、お話を伺ったところ、単体でクラッチバッグで使うにも、ちょうどいいとのことでした。「狙い通り、飛行機の座席の前の網ポケットにもちょうど入ったし、事業所の中でちょっと別のフロアに行く時、本店と事務所を行き来するときに、細々としたものを持ち歩くのに、収まりがいいし、使っていて誇らしさが湧いてくる」と、とても喜んでいただいておりました。
「角2の封筒まで入れてくれるとは思わなかった!」
もうひとつ、後日お伝えいただいたことですが、このクラッチバッグの中に、角2封筒がすっぽり、角折れすることもなく入り、とても役に立っているそうです。
以前のリュックでは、封筒をそのまま入れることは出来なかったので、お客様先に持参するときには、別に抱えて持って行くか、別途、紙袋などに入れて持参されていたそうです。
また、お客様からいただいた際には、手に持って退出した後、道端で封筒を折り曲げて押し込んだり、中身だけクリアファイルに入れ替えて封筒は処分するしかなかったと。それが、このクラッチバッグとリュックなら、そのまま収納することが出来るのです。
クラッチに入れてリュックに入れてと、二重に奥に入れているので、大事に扱う姿勢を見せられて印象も良くなったと、喜んでいただけました。
「ノートPC2台入れたいというだけでもけっこう大変な大きさになりそうなので、注文の時にそこまでは言いづらかったんですが、実は封筒まで入ると良いなと思ってたんです。結果的にそれまで叶えられて、とても驚いたし嬉しいです」と仰っていただきました。
A4判超サイズでのデザインとはいえ、プラスティックのハードケースではなくて柔らかい革なので、角折れしないかまでは、確証を持ちかねるところではありました。しかし、シュランケンカーフが弾力のある革なので、マチ幅があって空間が大きく取られたことと、ノートパソコンがつっかい棒の役割を果たしているのが、功を奏したのでしょう。
バイカラーはやり過ぎ注意
こちらのポーチは、ケーブルや充電器などのケースとしてお使いになるそうです。
小物はこうして小分けに収納しておくと、バッグの中でばらけずに、取り出しやすくなります。また、プラグ類は尖ったものが多いので、他のものに傷をつけてしまうこともありますが、まとめてしまっておけば、その心配もありません。
コンビネーションカラーでお造りする際に、気をつけることは、やり過ぎ注意、です。
シュランケンカーフは全19色あるので、何色でも使うことが出来ます。バイカラー、トリコロールカラー、4色5色…。極端な話、19部位あれば、全19色を使い分けた極彩色のバッグを作ることも可能です。さすがにそれでは目がチカチカしてしまうでしょう。
なので、今回のように、引手や丸タックなどの小さな部品だけを替えて、ワンポイント、挿し色を入れてみるのが、第一のチャレンジです。これだけでもだいぶ印象は変わり、目を惹くものになります。
お客様との話題のきっかけに
モバイルノートのACアダプター入れとして、ペンケースも。
A-69Hは、通常品では引手はヌメ一枚だけのカジュアルなものなのですが、2部位以上ないとバイカラーにならないので、A-70Hと同じ仕様にしています。
今回、お客様は挿し色にスカイブルーを選ばれましたが、これはお好きな色であるとともに、お客様の会社のコーポレートカラーなのだそうです。
営業マンはお客様との会話が命。いいバッグ持ってるねと目に留まったらしめたもの。実は仕立ててもらったんですと話題を膨らませ、最後にワンポイントで会社の話につなげて落とす。そんなシチュエーションが目に浮かびます。
メインのリュックは、あえてモノトーン。インバッグ類だけバイカラーにして、全体としてアクセントを効かせています。
ステッチ(糸)はすべて同じ水色系のもので掛けており、ワンポイントのスカイブルーとも調和して、いっそうの統一感を醸し出しています。
「スカートにも合わせられそうで可愛い!」
お納めの際に、ご覧になって第一声で、「とても可愛い!」とたいそうお気に召していただけました。
piccinoはレディスの発祥のメーカーなので、ビジネス用途のフォーマル感のあるものでも、紳士用鞄のような角ばった印象ではなくて、丸みを帯びたフォルムになります。それが可愛らしく、優しい雰囲気になるのです(その雰囲気が、あまり武張った印象が好きではない男性のお客様からも人気があり、レディス由来のユニセックスとしてもご好評いただいております)
また、「これならスカートにも合わせられそう」と仰ったのがとても印象深かったです。後日、別のご注文の際に、スカート姿で背負ってきてくださいましたが、たしかにぴったりでした。
トープカラーの暖色のやわらかな雰囲気と、丸みを帯びたデザインが、スーツのジャケット・スカートにも調和しています。
M様曰く「女性用のスーツは、ジャケットとパンツとスカートがセットになってますけど、リュックを背負う日にはスカートが履けない、ということが多かったんです。リュックがメンズっぽいデザインのものだと、全体の雰囲気がちぐはぐになってしまうので。結局、荷物が多くてリュックの日ばかりになっていって、着られるのがパンツだけになって、スカートだけほとんど履かずにスーツを買い換えてしまったりしていたんです」
メンズの流れのデザインのものが、パンツスタイルに合うのは当たり前。スカートでも違和感なく合わせられそうなビジネスリュックは、他では見たことがなかったそうです。後日詳しくお話を伺ったところ、この「他では見たことない」という言葉には、とても年期が入ってらっしゃいました…。
「同僚の方や仕事先で会った女性のビジネスパーソンが、仕事用のリュックを背負っていると、つい見てしまう癖が付いてしまってました。そして、どのメーカーの何年のモデルかもうわかっちゃうんです。あまりにも選択肢が少ないから。でも、誰が持ってるのを見ても、これなら、と思えるものは見つからなかったんです。それこそ『私のリュック放浪記』ってブログが書けてしまいそうなくらい、ずっと探してたんです。だから、今回お願いして、本当に本当に良かったです。これで旅も終われます」
ぱっと見ただけで見分けがつくほどに調べ尽くしても、ただひとつ「スカートを履いてる日にも背負える」ということが、叶わなかったそうなのです。そこまで思い詰めて、弊社に辿り着かれたと伺って、私も身震いがしてしまいました。
「同じ荷物が入っても、革製なのに、ナイロンより軽い!」
「え、軽い!」
その日お持ちになった荷物(4kg超)を、すべて入れてから背負っていただいたら、「革なのに、今のナイロンのリュックより断然軽い!」と、とても驚かれていました。
その日にお持ちになったリュックはナイロン製で、素材自体は革より軽いはずですが、ショルダーベルトの幅や作り込み、据え付けの角度と、素材の柔らかさなど、全体のバランスの良さから、より軽く感じていただけたようです。
改めて拝見すると、それは有名なブランドのレディースラインのものでしたが、メンズ仕様の原型のボディを、ひとまわりサイズダウンしただけのように見受けられました。ビジネス用途では、A4対応で収納力と機能性が優先されますので、強度などを踏まえると、設計上、変更できる余地が少ないのかもしれません。肩紐も幅広く、鎖骨に当たってしまって、うまく重量を逃してくれなかったりしていたそうです。総じて、よく作り込まれたいい製品でしたが、男性の体格に合わせて作られた機構では、小柄な女性のお客様には、無理のあるものであったのかと思います。
後日、よくよく話を伺ってみると「このリュックでこの荷物を背負って、丸一日営業で歩いたりすると、肩が凝るというかもう痛くなって、夜にお風呂場で見ると、内出血してたりすることもありました。さすがにその翌日は、リュックはやめておこうと思って、ハンドバッグやトートバッグに変えてみるのですが、片側の肩だけでその重量を持つのはなおのこと重いし、腕にかければそこにもアザのような跡がついて、半袖シャツなんて着れなくなるし。そういう不都合も、荷物が重いから宿命なのかと諦めてました」
それが、今回のリュックにしてから、とにかく重さを感じないし、内出血することもなくなったそうです。まるで通信講座の広告の出来すぎたお話のようですが、本当のことです。お話を伺っていて、そんなにも違いがあるものなのかと、むしろ私が驚いてしまいました。
数少ない選択肢のなかからベストな選択をしたつもりだけれども、実際に使ってみると使いづらいところが色々あった。今回お願いして本当に良かった。と、メーカー冥利に尽きるお言葉を頂戴いたしました。
そのほか、良かったポイント
後日、別件でご来社いただいた時に、使ってみて良かったことを、いくつもお伝えいただきました。その中で、弊社では想定していなかった、印象深かったことをご紹介します。
引手がカチャカチャ鳴らないのがすごくいい!
ファスナーの引き手がうるさくないのがすごくいいんです。と仰られて、何のことだろうとはじめは思いました。
上記の他社製では、メンズの流れのデザインから、引き手が金属製だったので、天ファスナーを締めたときに、両引手同士がぶつかり、金属が擦れてかちゃかちゃと音を立てていたのだそうです。お客様先で、バッグを持ち上げたり、位置をずらしたりする際、不意に音を立てるので、その場の空気を乱しそうで冷や冷やすることもあったと。また、天頂で閉めて背負っている時には、首の後ろ、耳の近くで金具が擦れるので、歩いているときにカチャカチャと鳴るのが、気に障ることもあったということです。
piccinoのものは「引き手まで革製なので、ファスナーの引手がぶつかっても音を立てないのがとても良い」と、喜んでいただけました。弊社内ではそれが当たり前なので、そこでお悩みの方がいらっしゃること、お褒めをいただけるとは、思いもよらないことでした。
ハンドバッグ持ちできたのがとても重宝しました!
このリュックは、天にしっかりとしたハンドルを設けています。
リュックは背負うものなので、ハンドルは付けないものも多いです。piccinoのラインナップの中でも、NL819やS45GRといったカジュアルなものには付けていません。ですが、ショルダーベルトだけだと、つかみどころがわからず、手の中から滑ってしまったり、重心が狂って、持ち上げる時にやたら重たく感じることもあります。特に、このデザインのように大きく、重たい荷物が入るものならば、しっかり掴むところがあったほうが、取り回しに便利です。
といったように、このハンドルは、上から握って持ち上げることを想定して付けているものなのですが、なんとM様は、逆手で腕を通して、ハンドバッグのように持たれる場面も多かったということなのです。
それは、お客様先にて、商談が終わって辞去するとき。
パソコンなど、持参した荷物をリュックの中にしまっても、お客様から渡された資料の入った封筒は、その場では仕舞い込むことはせず、別に持って出ることが多いでしょう。また、夏場はジャケット、冬場ならコートなどは、いかに荷物になろうとも、その場で着込むことはせず、お客様先を出てから着るのがビジネスマナーです。
つまり、商談室で席を立ってから、エレベーターに乗ったり、道端に出るまでの時に、バッグも腕に掛けてハンドバッグ持ちができたので、手は封筒が持てるし、上着も腕にかけられて、とても良かったそうなのです。小柄な女性の細腕だから可能になった、思いがけない持ち方でした。
もちろん、予めその持ち方を想定して、腕が入るようにハンドルの山を高く作ることもできますが、高くし過ぎると、持ち上げたときに重心が不安定になり、重く感じるという問題も生じます。piccinoでは、長年の経験から、このハンドルの高さや幅を設計していますが、この高すぎない高さも絶妙だったそうで、電車の中で前に抱えて持ったときには、顎に当たらなくていい、というお褒めも併せていただきました。
*
これらのポイントは、製品の手柄ではなく、お客様のご利用の仕方の勝利です。言い方を変えれば、お仕立て物であるということを差し引いても、piccinoとM様の相性が良かったということでしょう。私どもも勉強させていただきました。
このように、実際にご利用になってから、こんな使い方ができてよかった、こんな場面で重宝した、などとご感想を頂戴するのは、とても励みになり、有り難いことでございます。
ビジネスシーンでは欠かせなくなったリュック
けれどもなかなか選びようがない
一昔前は、仕事鞄がリュック?と眉をひそめる方もいらっしゃいましたが、今ではリュックはビジネスシーンでも当たり前になりました(文句を言っていた方も老境に入られて、リュックの軽さ、便利さに気づいて使うようになったとか、転びそうになった時に両手が使えて助かった、というお話も耳にします)
役所の書類など、今も紙の束を持ち歩かれたり、ペーパーレスになっても、多様なモバイルツールを使い分ける必要が生じたり、荷物は減ることはありません。そんな荷物はまとめて背負ってしまうのが吉。バランス良く両肩で支えれば、身体の歪みも抑えることが出来ます。
ただ、ビジネスシーンでは、背負えればなんでもいいというわけではありません。いかに便利でも、二宮金次郎の背負子では、奇異な目で見られること必至です。なので多くの方は、ビジネス用であると一般に認知されている有名なブランドのお品物をお使いです。なんといっても、みんなが持っているので、悪目立ちすることがなく無難に使えます。色も黒かグレーかネイビー。化繊素材で軽く、価格も安価であればなおよし(上司より高価なものは持てません、という文化もまだまだ根強いです)
これは別のお客様から聞いたお話ですが、それぞれのお仕事に適した容量用法のバッグは貴重なので、誰かがいいバッグを見つけると、いつのまにかみんながそれを使い始めて、まるで会社の支給品かと思われることもあるそうです。口沙汰がない人からは、塾の指定カバンかと揶揄されるとか(そして間違えないようにキーホルダーなどで区別する…たしかに学生時代を思い出しますね)
ただ、今回のお客様のように、そこは妥協したくない、とお考えの方もいらっしゃいます。
無難なバッグでも用は足りるけれども、マイナスではないだけでプラスにはなっていない。機能性重視で選んでも、ファッションとしてちぐはぐでは、お客様の前に出られない。お客様に敬意を払い、仕事をする心ばえを現せるような、ビジネスに相応しい品格を備えたものがほしい。メンズっぽいものを無理して使うのではなく、ファッションのアイテムとしても違和感のないものを。持ってるだけで、満足感と誇りが湧いてくるようなものを持ちたい。それが自分の細かいこだわりの使い方を踏まえてくれれば言うことなし。ましてリュックなんだから、自分の身体に合ったものを背負って、我慢せずにストレスなく、仕事に打ち込めるようにしたい。
そんな熱意とこだわりのあるお客様のご注文でございました。ありがとうございました。
(30代女性,金融業界)
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