ブックカバーのこと

ブックカバーは、ピッチーノの顔のひとつです。

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天然のタンニンを用いてイタリアの伝統的な技法でなめされたナッパラックスレザーは、いわゆる「革らしい革」です。
牛の皮膚であった頃に近い素揚げ調で、日に焼ければ色も変わり、水に濡れれば染みこみます。手の脂が染みれば色濃くなり、乾いて油分が抜ければぱさぱさに。長く使えばくたくたになり、お使いになるうちにどんどん変わっていきます。経年変化が顕著なので、使い込んだなあ、という満足感が味わえます。

その革の魅力を、一番シンプルな方法で引き出しているのが、ブックカバーです。
一見すると、革を平面で切り貼りしただけ、のように見えますが、細心の注意と技術が用いられています。それほど大きくはない革の盤面を、職人が一枚一枚見て触って、良いところだけを包丁で手ずから切り出しています。
規格品ですから、本来であれば、金型を作ってクッキーの生地のように同じ形を抜けばいいのですが、それはピッチーノの職人のこだわり。革の表面を平面でじっくり見て触って楽しむブックカバーについては、最大限の注意を払って、繊細な見極めをしています。


たまに、表から裏まで通しで一枚で作ってほしい、というご意見も頂戴しますが、大きく三つの理由から、今のデザインになっています。

ひとつは、お値段。
革には、牛さんが生きていた頃の傷などがあり、それを避けて一枚通しの大きな面積を切り出そうとするのはとても難しく、牛一頭分の革から何枚にもなりません。マグロの大トロだけを食べて残りを捨てるようなもので、とても高くついてしまいます。

ふたつは、滑るんです。
手なじみの良い革なので、表表紙から背表紙、裏表紙まで一枚通しだと、なにも手がかりがなく、かえって持ちづらくなってしまいます。革を重ねた段差や縫い目があることで、片手でも取り落としにくくなっています。

みっつめは、張りを持たせるため。
革は柔らかくなるので、広い面積で重くなればなるほど、重力に負けてくにゃっとなってしまいます。そのため、外周や要所にステッチを施して、適度に張りを持たせています。また、切断面であるコバも薬品でしっかり固め、毛羽立ちも押さえています。これらによって視覚的にも印象がぐっと引き締まり、端正な雰囲気を実現しています。

これらの細かな工夫が、皆様にご愛用いただいているブックカバーをつくっています。

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ハロウィンも過ぎ、街は一気にクリスマスムード。
温かみのある本革のブックカバーは、毎年多くの方にご好評いただいております。

 『うれしいおくりもの』(杉浦さやか・著、池田書店) でも紹介されています ※

ギフトラッピングも承っております。お気軽にお申し付け下さい。

寒い冬、家で静かに読書にふける、そんな楽しみのひとつに、ぜひお持ち下さい。