こんにちは、スタッフのRです。
今回、初めて、あけの工房に、自分用のバッグをセミオーダーしてみました☆(o゚∀゚o)
(前回の記事はこちら)
piccinoでは、ショールームにてセミオーダーのご相談を承っています。
セミオーダーとは、既存のバッグのラインナップのものをご注文いただく際、例えば背が高いからショルダーベルトは長めにしてほしいとか、糸の色やファスナーの色を標準色から変えてほしいとか、こういうものを入れたいので内側のポケットをひとつ追加できないか、など、基本的な設計、バッグの構造まで影響しない範囲の仕様を、お好みに応じて細工することです。
注:一から新しいものをつくるフルオーダーは、ご注文いただくことができません。 |
今回作ったバッグにも、本歌(原型)が存在します。
ジャージー牛ソフトレザー製のバッグ(品番:JS-25)
2015年製作。軽さと柔らかさが特徴の製品です。
わたしは物持ちで、普段このくらい持ち歩いているので、
正直なところ、とにかく重いです。笑
なので、それを包む(入れる)バッグはなるべく軽いものをということで、このデイリーボストンバッグを愛用していました。
とてもいいバッグだったのですが、残念ながらこの革が入手困難となってしまい、同じものの生産が不可能になってしまいました。
元々革製品が好きなのと、営業の時に実際に使った感じをサンプルとして見せられるように、ほとんどpiccinoのものばかり使っているのですが、肝心のバッグが生産できないものでは、お客様にがっかりされてしまいます。なので、スレやギン剥けが少し目立つようになってきた際に、現行品の素材で造り直してもらうことにしました。
そして、せっかくなので、ここもっとこうならいいのにな、というところをまとめて、工房長にリクエストして、できあがったのが今回のバッグです。
こうしてみると、そっくりなのがわかると思います。
裏胴側は同じ仕様ですが、素材が違うと、だいぶ印象が変わります。
今回、素材に使用した革は、ドイツ産のワープロラックスカーフ。欧州の有名メゾンでも採用されている、世界最高峰の型押し加工の革のひとつです。
型押し加工は、圧を掛けて凹凸模様を刻むので、繊維が圧縮され、強靱になります。ですがそのために、触感が硬めの仕上がりになることが多いです。けれども、これは上質のカーフレザー(生後数ヶ月の若い牛の革、柔らかくきめ細かい)を素材にして、老舗のタンナーの伝統ある特殊な製法でなめしているので、型押しなのにとても柔らかい触感で、軽みのある仕上がりになっています。
JS-25のほうは、足下に顕著に見えますが、革が柔らかくくたっとした感じ。長年肩掛けしたために引っ張られたクセがついたりもしています。
今回のバッグは、型押し革の硬質な質感によって、ピシッとした印象です。
また、前記事で紹介したバッチポケットが、JS-25では付いていないことがわかります。
細々としたものを多く持ち歩く人の大きな悩みが、バッグの中の整理だと思います。
そのまま突っ込むのではごちゃごちゃになってしまう。インバッグに入れて小分けにすると取り出すのに手間が掛かる。名刺入れなんかとくに、さっと出せる位置に入れておきたい。
そのひとつの解決策として、、内側の抱かせ(オープン)ポケットを多く設けて、挿すように収納するというのがあります。
今回は前胴と後胴の内側にそれぞれ、抱かせ(オープン)のポケットを装備。
JS-25は片側だけで、ファスナーポケットと抱かせ(オープン)ポケットが表裏で一対でした。
ただこれだと、あくまでもわたしの場合にはですが、不十分でした。
わたしの場合はとても極端ですが、名刺入れやキーケースなどのカードサイズの革小物が多いので、高さのあるオープンポケットに入れると下に沈んでしまうのです。それもいくつも入れるので、厚みも出てしまいます。そのため、抱かせポケットの中に区分けして整理しているはずのものが、メインポケットの空間の容積を圧迫してしまっていました。底に近いところに溜まり、その上部の空間はデッドスペース。人間で言うと下腹が出たような体型になってしまっていました。
そのため、こういった細々としたものを、すべて外に出すために、膨らみのあるバッチポケットを付けました。(裏胴のファスナーポケットにはマチがないので、結局メインポケットの容積に影響してしまいます)
そして、バッチポケットのなかにも、上方(手元近く)に浅めのスリットポケットを配して、バッチポケットの中を二段構成で使えるようにしています。よく出し入れするもの、すぐ出したいものを上に入れて、使用頻度の低いものは下まで沈ませるという使い分けができるように。
このように、持ち物が多く、さらに細々したものが多く、それらをきちんと整理したい、という、わたしの使い勝手に合わせた造りになっています。
また、これだけの持ち物の重量を支えるハンドル。
こちらもJS-25と同じ造り。
ジャージー牛ソフトレザーは、薄く柔らかく軽い、わりと華奢な革だったのですが、あれだけの荷物を入れて荷重をかけても、革が裂けたり、ハンドルからほつれることもありませんでした。それと同様に、しっかり縫い付けてあり、V字のステッチはそれ自体もデザインになっています。
この部位が一番顕著に見えますが、このバッグは、胴の上に見付帯を載せ、その上にハンドル付け根を載せてと、何重にも革を載せていく造りになっています。これは、シュリンクレザーの革などの厚みのある革では、厚くなりすぎて縫えません。ジャージー牛ソフトレザーや、ワープロラックスカーフなどの、比較的薄手の革素材だからこそ、できるデザインです。
ショルダーベルトの付け根も同様。
JS-25は男性女性どちらでもお使いになれるようなやさしいデザインでしたが、これは使うのがわたし(男性)だったので、こちらも角張ったメンズラインのデザインに。
ファスナーの尻留めも同様に四角に。
こちらもJS-25の仕様そのままですが、見付とファスナーテープのフラップが一体化していて、端までしっかり閉まるデザインになっています。その分、端までしっかり開けないと、口元が大きく開かないのですが、PCやミラーレス一眼などのデジタルガジェットを多く持ち歩くため、雨の心配が極力ない仕様が気に入っています。
底鋲も、JS-25と同様に装備。
電車の中で床に置いたときなどにも役に立ちます。
こんな風に、基本的なデザイン(設計、構造)は替えずに、内部の袋のつくりや、細かい部位の意匠を替えたり、引き手を増やしたり、外付けでポケットを縫い付けたりという、ちょっとした工夫をしてもらったことで、わたしに最適化された、とても使い勝手のいい、世界でひとつのバッグができあがりました。とても便利で格好良くて、日夜愛用しています☆
実際に作ってみて、今まで以上にバッグのことが理解できて、より一層、バッグのことが好きになった気がしています。
皆さんも、piccinoのバッグをお使いになって、もしここがもっとこうだとよかった、ということがあれば、次のバッグをお考えの際に、どうぞご相談にいらしてください。
お客様の使い方に合ったものを、可能な限りお造りさせていただきます。
※セミオーダーの注意点
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